白い葱のはじまり
江戸東京野菜協会の会長大竹先生にお聞しました。
「昔々、葱と言えば関西のもの、青い葉っぱの部分を食べる野菜でした。
関東で葱が食べられるようになったのは、江戸に幕府が開かれたころ。
大阪の摂津から葱農家の方が江戸の砂村という場所に移り住み、
大市場の江戸に向けて青い葱を生産しはじめたのがきっかけです。
ところが、ある年の冬、葱が霜枯れにかかり、農家の人たちは
商品価値のなくなった葱を土に埋めて燃やしたのだそうです。
すると、土の中から香ばしい香りがするではありませんか。
その正体は葱の白い部分。おそるおそる口にしてみるとなんとも
甘くて美味しい。それからは白い部分を長く育てる
根深葱が関東で育てられるようになったと言われています。」
こんな偶然から、白い葱が生まれ、江戸の食文化を
彩っていくようになったと思うとなんだか不思議です。